システム開発業界でよく聞く自社開発、受託開発、SESの違いとは?

記事更新日: 2021/01/23

ライター: hiro

この記事のライター
hiro
この記事のライターの20代システムエンジニア。エンジニアのキャリアや働き方を日々研究中。調査の幅は広く、何事も深く調べてエンジニアやエンジニアを目指す人に向けて役立つ情報を発信中。
下の写真は10社以上あるプログラミングスクールについてエンジニア仲間とディスカッションした時の様子。
相談者
ゆうな
一般的な企業で働くOL。ITは未経験だが将来性を考えてIT企業への転職を検討している。そのため、プログラミングスクールへの入学も考えている。

ゆうな

プログラミングスクールに興味があるんだけど、ちょこちょこわからない用語が出てくるんだよね

hiro

専門用語が多めだもんね。ちなみに何がわからない言葉なの?

ゆうな

自社開発とか受託開発とかがわからない

hiro

そこはエンジニアに馴染みがないとなかなかわからない言葉ではあるよね。説明するよ

ゆうな

ありがとう!ちょっといろいろ教えて!

プログラミングスクールを調べる中で自社開発、受託開発、SESといった言葉が良く出てくると思います。

これら3つはシステム開発に関わるIT企業の分類方法の一つです。

hiro

この記事ではこれら3つの違いをシステム開発のビジネスモデルも説明しながら解説します

hiro

未経験からエンジニアを目指すうえでの注意点も載せてますよ
この記事でわかること
  • 自社開発、受託開発、SESの特徴
  • 受託開発とSESの見分け方
  • 未経験からエンジニアを目指す場合の注意点

自社開発

概要

まずは自社開発についてです。

自社開発とは、自分の企業のサービスを開発するエンジニアです。

hiro

自社開発の例で挙げられる企業として、メルカリやクックパッド、楽天などがあげられます

顧客は自社内の営業やマーケティング担当の方などになります。

その人たちと打ち合わせをしながらシステムを開発していきます。

メリット

自社開発で働くメリットがこちらです。

 

メリット
  • 納期が緩く、働きやすい労働環境である場合が多い
  • 給料が高くなりやすい
  • 顧客が社内なのでコミュニケーションがとりやすい
  • 自分が関わったシステムの評価がダイレクトに得られる

 

ゆうな

もうちょっと詳しく教えてくれる?

hiro

いいよ、まず上の2つは似ている理由だからそこから解説していくね

まずはこちらのシステム開発のビジネスモデルの例をご覧ください。

元請けの企業がまず依頼元からシステム開発の依頼を受け、自分たちの会社で対応できない仕事を下請け企業に依頼していきます。

基本的に下請けになればなるほど企業がもらえるお金は減っていきます。

 

hiro

元請け企業が100万円で受けた仕事を80万円で下請け企業に依頼し、さらにその企業が下請けに60万円で依頼するといった具合です

これはあくまで一例で、4次請け以降がいたり、詳細設計を3次以降の企業が担当したりもします。

ゆうな

自社開発企業はどこに当たるの?

hiro

自社開発企業は元請け的なポジションになるか、そもそも元請け企業の顧客というポジションになるかな

自社開発企業はピラミッドの一番上またはシステム開発の発注元という立場になるため、立場が強いです。

そのため納期を緩めに設定することができ、ホワイトな労働環境になりやすいです。

また、ピラミッドのトップなので企業がもらえるお金も一番多く、社員の給料も高くなります。

 

ゆうな

なるほどねー、残りの2つはどう?

hiro

社内の人相手に仕事をするからというのが理由だね

他社ではなく自社の人が顧客になるため、不明な点や困ったことがあったらすぐに聞きに行けます。

また、自分が作ったシステムを使用している様子を近くで見ることができ、評判も入ってきやすいのでモチベーションが上がりやすいです。

ゆうな

自分が開発したシステムが好評だったらとてもやる気出るね

デメリット

デメリット
  • 社内のサービスに愛着がないと仕事がつらい
  • 営業出身の人が社長だとエンジニアが働きにくい環境であることも多い

基本的に自社開発のエンジニアは自社のサービスの開発にのみずっと関わるので、そのサービスに愛着がないと仕事がつらいと感じてしまうでしょう。

 

hiro

自社開発の企業志望の人は、どんなサービスなのかのリサーチも欠かさないようにしてください

ゆうな

2番目のデメリットは?

hiro

営業出身の人がトップだとエンジニアの理解があまりないパターンが多いんだよね

営業から会社のトップになるような方であれば、営業時代はバリバリ成果を出していたでしょう。

しかしバリバリの営業マンとエンジニアは相性が良くないケースが多いというのは良くある話です。

hiro

営業が自社のエンジニアの力量以上のサービスを提供することを顧客と約束し、エンジニアと揉めるのは良く聞くケースです

営業出身のトップがすべて悪いわけではないので、あくまで参考程度に考えておいてください。

実際に入社を検討する際は、現場のエンジニアにも会わせてもらうといいでしょう

受託開発

概要

受託開発とは、システムを開発したい企業からの依頼を受け、そのシステムを開発する企業です。

これから紹介するSESも似ていますが、受託開発はシステムの成果物に対して報酬をもらい、SESはシステム開発に関わった時間に対して報酬をもらう点が異なります。

hiro

有名どころで言うと、富士通やNTTデータがあげられます

メリット

メリット
  • 同じ会社にいながら様々な案件に関われる可能性大

受託開発のメリットはこれに尽きるでしょう。

様々な企業のシステムに関わることができ、豊富な開発経験を積みやすいです。

ゆうな

様々な経験を積んで将来独立したいと考えている人にはいいかもね

hiro

そうだね、ただ大型の案件に入ってしまうと数年離れられないことも多いからそこは注意だね

受託開発とひとくくりに言ってもいろいろな種類があり、労働環境やどのような案件に入るかは全く違ってきます。

顧客と直接取引する1次請けの案件を多く扱っている会社に入ると働きやすい環境で仕事ができるでしょう。

なるべく上流の企業に入社することを目指しましょう。

hiro

個人的には様々な経験が積める受託開発はおすすめです

デメリット

デメリット
  • 納期に追われる
  • 下請けに仕事を依頼する場合板挟みになりやすい
  • 労働環境は案件によっての違いが大きい

デメリットはこのあたりでしょうか。

受託開発だと顧客が他社である以上、例え元請けだとしても自社開発ほど納期は緩くない場合が多いです。

また、様々な案件に関われるという性質上入る可能性がある案件が多く、当たりはずれがあります。

hiro

同じ会社で同じような業務をしているのに、環境が全く違うことは私の会社でもよくあることです

ゆうな

なかなか難しい問題だね

hiro

一方はホワイトな環境、一方はブラックな環境だとブラック側にいる人は辛いよね

hiro

会社ごとでも当然違い、ピラミッドの下の方にいる企業はブラックな環境になりやすいです

受託開発の企業は下請け企業にプログラミングをお願いする場合も多いです。

その場合、下請け企業と顧客の板挟みになることも十分にあります。

hiro

私もよく板挟みになっています。顧客からはこういう機能が欲しい、下請け企業からはこんな機能は作れないといった具合です

SES

概要

SESはエンジニアが足りないプロジェクトにエンジニアを派遣する企業です。

受託開発が開発したシステムに対して報酬を得るのに対し、SESは働いた時間に対して報酬をもらいます。

 

hiro

派遣社員のようなイメージです

未経験などのIT業界に馴染みがない方に受託開発企業とSES企業の見分け方をお伝えすると、非IT企業や自社開発の企業と取引していたら受託開発、富士通やNTTデータなどのIT企業と取引してたらSESである可能性が高いです。

hiro

IT企業のグループ会社(例:NTTデータ〇〇)などと取引していればピラミッドの下の方のSESであることが多いので気をつけましょう

何度も言うようにピラミッドの下の方のポジションは劣悪な労働環境であることが多いです。

メリット

メリット
  • 1つの案件には短期で関わることが多く、より様々な案件に関われる
  • 会社のしがらみがない

 

ゆうな

受託開発でも同じようなことを言ってなかった?

hiro

SESで働く人の場合は1つの案件の一部の期間のみ関わることも多く、受託開発よりも案件が変わるサイクルが早いんだよ

案件が変わるサイクルが早いので1つの職場にとどまることが少なく、同じ会社の人とも関わることはほぼないので人間関係のしがらみが非常に少ないと言えます。

hiro

ここに魅力を感じてSESで働き続けるエンジニアも多いです

デメリット

デメリット
  • 多くの場合下請けの立場
  • 現場によってはサービス残業が多くなることもある
  • 会社への帰属意識が薄くなる
  • 上流の仕事はほぼできない

 

ゆうな

サービス残業することもあるの?

hiro

働いた時間によりお金が払われるから、ひどい現場によってはある時間以上の残業代はつけないでとお願いすることもあるようだよ

ゆうな

それは大変、、

hiro

下請けのことが多いから立場が弱く給料が低い場合が多いんだよね

hiro

ピラミッドの下のほうにいることが多いので上流の経験も積めず、上にあがる機会もなかなかないです

上流の仕事は基本的に自社の社員に任せるので、関わっている案件に上流の業務があってもSESの人に回ってくることはほぼないです。

SESは悪なのか

インターネットではSES=悪という風潮が多いですが、そうでない会社ももちろんあります。

 正しくスキルアップを考えてくれるSES企業もあります!

hiro

ネットの意見に踊らされることなく、自分でしっかり情報収集をしましょう

 

未経験からエンジニアを目指す場合の注意点

未経験からエンジニアを目指すうえで自社開発、受託開発、SESのどの企業に入社するにしても覚えておいて欲しいことが1つあります。

未経験からエンジニアになり、すぐに年収が高い水準になるわけがないことは覚悟しましょう。

hiro

自分たちが雇う側だったら、仮にスクールを卒業したとしても実務経験がない人を高年収で雇うでしょうか?

もし未経験から高い年収を求めるなら、それだけの価値が自分にあるか示すことが大事です。

例:鉄道関係者からエンジニアを目指す場合

価値を示す方法:鉄道知識があることをもとに鉄道関係のシステム会社に自分を売り込む。

hiro

エンジニアの知識+業務知識で自分の価値をアピールすると良いでしょう

まとめ

未経験からエンジニアを目指すにはまずIT業界の会社を知ることが不可欠ということで、自社開発、受託開発、SESの違いを説明しました。

この記事が皆様がエンジニアを目指すうえで役に立てば幸いです。

この記事を書いたライター

hiro

初めまして、hiroと申します。普段はシステムエンジニアとして働く会社員です。趣味は居酒屋開拓、スポーツ観戦(特にサッカー)です。皆さんの役に立つ情報を提供したいと思い記事を書いています。

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